アイガー北壁 [DVD]
アイガー北壁に登るまでの二人の男たち。それを利益につなげようとするマスコミ。そして高級ホテルに滞在しながら余興として楽しもうとする富豪たち。1つ1つの描写が丹念に描かれ、厭がおうにも緊張した映像として迫ってくる。メインとなるのは、目の前に立ちはだかるアイガー北壁と、当時の貧弱な装備で登攀しようとする挑戦者たちである。一瞬も目が離せない。ピーンと張り詰めた緊張感で体が硬くなる。事実に即した脚本であるが、演出もよくできている。すごい撮影だ。
「運命を分けたザイル」「運命を分けたザイル2」も素晴らしい映画だった。山岳映画に外れ無し。
夢の山岳鉄道 (新潮文庫)
1993年にJTBから出た単行本の文庫化。
登山鉄道に乗る話ではなく、新たに登山鉄道をつくろうという話。近年、ものすごい人手に悩まされる上高地。それを見た宮脇氏は「登山鉄道で全て解決できるのではないか」と思ったのである。道路を廃止して跡地に鉄道を敷く。用地は半分以下ですむし、排気ガスや騒音からも解放される。そして実際に路線図を引き、ダイヤグラムまで考えてしまうのである。環境に配慮した現代的なアイデアだし、現実性も高い。
同様に富士山、屋久島、比叡山などでも登山鉄道の企画が立てられる。二番煎じの感が強く、すぐ飽きが来るけれど、面白い一冊であった。
しかし現実に列車に乗った記録ではないために、宮脇氏本来の魅力は薄れてしまっている。
ウェールズのスノウドン登山鉄道など、ヨーロッパの実在の登山鉄道に乗った記録も合わせて収められている。