心の旅
思い起こせば、高石ともやとザ・ナターシャセブンってバンドに在籍していてマルチプレーヤーぶりを発揮していたのが印象に残っています。「花嫁」のような大ヒット曲の作曲をしていたのも知っていましたが、このアルバムで聴けるようなすばらしい曲を沢山書いていたのでびっくりしました。肉体は滅んでも、生み出された作品群は永遠に不滅です。知らない人は騙されたと思って一度聴いてみてほしい作品です。
タカダワタル的 memorial edition [DVD]
■4月に訃報に接し、あわてて小遣いで買えるだけのCDを取り寄せ、以来2ヶ月あまり、タカダワタル漬けの毎日です。
何度繰り返し聴いても、これで十分ということはありません。古いものも、新しいものもよいのですが、ただ、新しい時代に録音された曲ほど、ワタルさんの声は人への優しさ、というか、慈しみが増して、まるで熟成されたウィスキーのように、まろやかになっていたように感じられます。
このDVDは、不覚にも、訃報に接するまでワタルさんを忘れていた、あまりにとんまな私にも、そんな熟成されたワタルさんの姿に接する機会を与えてくれました。(「追悼高田渡」の栞に添えられた、イサトさんをはじめとする方々の言葉が胸に迫りますが…)
■観客や共演者、スタッフとのかけあいからにじみ出る、人と人との<きずな>が素晴らしい。高田渡という「圧倒的な存在感」(中川五郎さん)、自然に人をひきつける力の極地みたいな存在が、画面を通してしか見られなかったわたしにも、伝わってきました。特に印象に残ったのは、バックでペダルスチールを演奏しているご子息の漣さん。ワタルさんを見守る姿がなんともいえなく優しい。いい親子だなぁ、こんな風に自分の息子が育ってくれたら最高だろうな、と感じました。
■日々の暮らしの中で、時に人間不信に陥ったら、このDVDのワタルさんたちの姿を思い出せば立ち直れることでしょう。ブックレットと特典DVDは、本編をしのぐボリュームと内容。映画館で見られなかった分を十分補えることでしょう。ちょっと大げさですが、人生の宝物になりそうです。