号外!!虚構新聞
今月15日、これまで電子的日本海溝でしか生息できないとされていた珍種のニュースサイト「虚構新聞」が、ついに笹倉出版社の輪転機が一般家庭でも鑑賞可能のモノとして大量養殖化に成功し、めでたく「号外!!虚構新聞」として販売開始した。本書は、未だ虚構新聞を知らない方々に向けて開発されたが、虚構新聞マニア達がこぞって"保存用・観賞用・放流用"に買い集めるエクストリームスポーツを始めたため、本来の虚構新聞を必要とする人々に行き渡らなくなる社会現象を巻き起こしている。 書籍販売サイト「アマゾンネスレ」では販売当日より元値の数兆倍のプレミア価格をつけられたり、父親に虚構新聞を買ってくるよう頼んだ少年が父親に対し「虚構新聞じゃない!」と激昂し人工心臓の隣の「KAGEROU」で数百回も父親を殴打する事件が発生した。なお、「KAGEROU」で人を殴っても、その内容の薄さゆえに人体に損傷を与えることはできないとのこと。少年の父親は無傷のもよう。 今回の騒動について、ある識者は「やっぱー、虚構を冠した新聞なのにぃ紙媒体として実在しちゃえるようになったのはマズイんじゃね?二次信者とかシュレディン猫的にさー」と語る。 私は、虚構新聞の更なる増殖と進化のために職場や奈良県民らに「号外!!虚構新聞」を放流する予定である。現代日本の出版生態系とか爆発しろ。 …評価は平均点を3とし、紙面構成はすごくよかった(+2)けど、内容的にはほとんど元の虚構新聞のまま(-2)、信者点(+1)、主筆のUK氏のツイートしていた「KAGEROUみたいな袋叩き怖い」という「ダチョウ倶楽部的ネタフリ」の期待に応え(-1)て、計3点となった。
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最後の縄は泣けました君たちは宝物だに感動しました泣ける場面ありすぎですはかなき激情の会場全体がひとつになり妄想地下室もいつまでも歌い続けたい気持ちにしてくれました蜉蝣は永遠ですその後大祐の新しいバンドも見て生きたいです
十四時過ぎのカゲロウ
構成は「十四時過ぎのカゲロウ」と「冠水橋」の2曲と両曲
のインストの計4トラック。CD-EXTRA形式で壁紙を取得すること
が可能(マキシシングルYOU&MEの壁紙も素晴しかったが今回も
良い出来)。
・十四時過ぎのカゲロウ
炎天下の夏によくアスファルトの上などで見る
陽炎(カゲロウ)とカゲロウ(カゲロウ目の昆虫
の総称)をかけているのだろうか。
昆虫のカゲロウは「カゲロウの命」という言葉
が表すように短命で、儚い命として知られる。
夏の14時と言えば暑さはちょうどピークに達して、
地面から湧き上がるように陽炎が揺れているのを誰し
も一度は見たことがあるのではないだろうか。その
暑い揺らめき(陽炎)と儚い命のカゲロウ、そして
「欲しいものは見えている」という一言。軽快で奇妙
で美しい一曲。
・冠水橋
ある日の散歩の一時、何かを感じた刹那を大切に詞に
表したという印象の曲。誰もが何かを見て、何かを
感じて生きているが、実際、それを言葉に表すのは
難しい。漠然とした「詞のリアルさ」に一種の共感
を覚えた。
冠水橋(=潜水橋、潜り橋)は河川敷に架けられ
洪水になると水没状態になる橋のこと。埼玉県(荒川
水系)の冠水橋は有名(キリンジは埼玉県出身)。
少し涼しくなった夕方に、この曲を聴きながら、冠水橋を
見に河川敷を散歩するのが、この曲の最高の楽しみ方ではない
だろうか。普通、水面の下に伸びる橋を想像すること
は難しい。人間の作った美しい造形物は数ある中、
何故、「冠水橋」なのか、何故か人を惹きつける冠水橋
の魅力を実際に見て感じてほしい。
裏閻魔
幕末から太平洋戦争末期まで、長大なスケールで物語が進む。というのも、主人公が不死だからだ。不死の呪いの入れ墨を掌に持つ「宝生閻魔」が中心人物だ。見かけは20才のまま。だが物語終盤では100才になる。運命の宿敵「夜叉」も魅力的。
適度に耽美的で妖しい雰囲気のある伝奇時代劇だ。性描写がさらっとしていて、読者を選ばない。残虐な殺人がいくつか発生するが、肯定的に描かれてはいないので問題ないだろう。「横浜リッパー」の章が最も面白かった。
見逃してならないのは、帯に描かれたことぶきつかさのイラストだ。作品世界をうまくイラストにしている。現代日本文化最大の武器・マンガ/アニメとの連動は、今後視野に入れていくべきだろう。
ちなみに私は、続編よりインサイド・ストーリーの方を読みたいと思った。特異な彫り物が、彫られた者の人生をどう変えていくのか、明治や大正時代を背景に、いくつも魅力的なエピソードができそうだ。
クリスマス・ソングス
ということで、今回は「歌声」のみ評価します。
当初は「★5つつけるぞ!」という意気込みでした。なのに三つなのは以下の理由から。
手嶌葵さんの歌声が、以前から好きでした。
掠れたようなヴォイス。揺れながら消えゆく語尾の美しさ。
そして音の前に息を吸う音……ブレスが、あの手嶌葵ワールドを作っていると思います。
そう言う意味では、今作もハズレはありません。
しかし選曲が惜しい……。あまりにも超有名すぎる曲が9曲。
つまり「定番曲」です。それなら「定番だからOK」かというと、
今回は「ジャジーでアコースティックな世界」がコピーです。
彼女の歌声に罪はありませんが、アレンジし過ぎに感じられるものも。
結果、「定番曲なのに」不安定な気分がしてくる曲がいくつかある。
やるなら全部! 徹底して欲しかった。全曲がそうならまとまるのに。
やはりカヴァーの限界を感じます。この方はオリジナルを是非歌って頂きたい。
しかし! ラストは良かった! Silent Nightのア・カペラです。
最初は彼女一人の歌声がゆっくりと流れていき、段々と声が重なっていきます。手嶌さん自身の声で。
シンガーズ・アン・リミテッドクリスマスを彷彿とさせるほどの美しい歌声は圧巻としか言えません。
でもこれ、「あたたかい気分になれます」……いや、彼女のこの歌声でこのアカペラは……
【しんしんと雪の降り積もる中を裸足で歩くマッチ売りの少女が天にのぼっていく】のを連想させます。
どこかもの悲しささえ感じる、アルバムの終わり方でした。
……キスするのには、丁度いいかな?
総合:★三つ。カヴァーで9曲って少なくないですか? トータル34.5分です。