宇多田ヒカル UTADA UNITED 2006 [DVD]
このコンサートを見て改めて,宇多田ヒカルは,日本の歴史の中で最高の女性シンガーソングライターであると確信した.楽曲のオリジナリティ,レパートリーの広さ,編曲まで一人でこなせる才能,そして普通の歌手ではとても歌いこなせないような非常に凝ったメロディーを,情感たっぷりに歌いこなせる歌唱力.すでに評価されてはいるが,もっともっと評価されてしかるべきアーチストだ.
チェロのソロで歌う Be My Last は圧巻.COLORS も,CDではそれほど良いとは思わなかった曲だが,感情を込めた歌い方がとても心地よい.多くの曲で,オリジナル以上の魅力があり,ファンには必見の DVD だろう.
録音は(TVスピーカ向きのアレンジのためか)若干ハイ上がりなので,ちゃんとしたオーディオセットでは,広域を絞ったほうがバランスが良い.カメラワークは,短いシーンをつなげる演出が効果的で,よくあるコンサートの DVD のように平板な感じを免れている.画質もまずまず.
残念なのは,写真も,パンフも付いていないのに,価格が高い点.このような,海外でも売れる DVD に,映画より高い値段をつけるとは,日本の音楽業界はボリ過ぎではないか? その点のみ,☆−1.
冷静と情熱のあいだ(通常版) [DVD]
素敵な女性が痛いほど切ない恋をしている。女性の気持ちがわからない僕にもあおいの葛藤・女性らしさは手に取るようにわかりました。順正の情けなさも。ストレートでとっても素敵なラブストーリーです。あおいと順正の恋愛をエネルギーにして生きることに憧れを持たせます。
つい最近になって原作を読みました。原作を読んで、完全に別の話だと思いました。映画ではあおいの繊細な心理描写が痛いほど伝わってきましたが、小説では順正の愛情の深さ・心の温かさの方が印象的でした。その純粋さ、小説より映画の方がずっと強く、可憐に描かれてる。
とっても素敵な「映画」ですよ。
おくりびと [DVD]
この映画は、1納棺師について 2「生死」について 3石文(いしぶみ)についてという
3つのテーマで構成されているように思う。
1について、納棺師という職業を「汚らわしい」と妻がなじる場面がある。この設定だが、
この場面に至るまで広末涼子演じる妻がいつもニコニコして物分かりが良さそうだった為に、
演技の問題なのか台本の甘さなのか、インパクトが強いというより違和感が残る。
「納棺夫日記」(青木新門著)を読んだが、夜床で妻を求めた際、「汚らわしい」と拒否
されるのだが、この方が物語としては深い。
また山崎努の演技は最高だが、妻の亡骸を納棺してこの仕事に就いたという動機は甘い。
納棺夫日記の作者には、満州で死体置き場に知らないおばさんと一緒に幼い妹と弟の死体を
捨ててきた記憶があり、この浄罪の気持ちがあったのではと考えると、より奥が深い。
また本木雅弘は、この作品自身の真の生みの親でありその情熱は素晴らしい。また彼は納棺師の
所作自身を美しいものとして捉えている。確かに演技者としてその打ち込み方には頭が下がるが、
その所作が日本の文化的・伝統的に果して意味があるのか私自身は疑問を感じた。
近親者が亡くなったばかりなのに、遺族が納棺師の所作に心を動かされ変化するのは如何なものか?
あくまで納棺師は黒子でなくては。
2について、「生」と「死」をハレとケに区別するのでなく、「生死」という生きとし生けるもの
の一連のサガとして捉える表現としてタコ・サケ・フグの白子・トリ等が出てくるが機微まで描き
切れていない。もっとも描くには宗教や日本人の死生観にまで言及せねばならず、それでは
アカデミー賞は獲れない。その辺のことは久石譲の美しいチェロで味付けされ、私たちは解かった
気になるしかないのである。
3については、ネタばれになるので書かないでおく。映画的で良いエピソードだと思う。
アカデミー外国語賞受賞を見事獲得ということで期待が大きかっただけに、若干、私の感想も
厳しくなったことをお許し頂きたい。しかしこの作品が受賞なら、本選ノミネートまで行った
「泥の河」や「たそがれ清兵衛」にも是非獲得して欲しかったと感じるのだが、アメリカ人から
見るとこちらのほうが理解できたのだろう。
Chamber Music Society
1stアルバムはピアノトリオ、2stで自身のオルタネイティブでポップな世界感を見せたエスペランザ、2匹目3匹目のドジョウを狙う昨今の音楽業界に逆らうように大きなクジラを出してきた。自身チェンバーミュージックと言いながら、壮大な広がりをもつ曲ばかり。最低音域のベースとボーカルでの高音域を両方同時に出せる彼女の特異な才能は、ライブや映像で発揮できてもアルバムでは今一つ伝わらなかったが、今回のアルバム、それが全体に上手く表現されている。「なぜ牛丼屋でジャズがかかっているのか」と呑気なことを言ってる日本だが、アメリカではジャズは着実にかつ大胆に進化している。ノスタルジーは捨て、前を見たいそんな人にお勧め。すげー美人なのにジャケ買いを拒絶するようなデザインセンスもまた良し。
ベートーベン・ウィルス~愛と情熱のシンフォニー~ オリジナル・サウンド・トラック(日本限定盤)
ドラマ挿入歌、ファン・ヒの「僕の大切な人」を捜し求めて
購入できたCDでした。他にもドラマで使用された
ステキな曲がたくさん入っていました。