長谷川一夫の銭形平次捕物控平次八百八町 [DVD]
一世を風靡したはずの「長谷川平次」のDVDが、
美空ひばりがらみの2本のみというのはなんとも淋しい限り、
と思っていた所に突然のDVD化。しかも安い。
製作は1949年。GHQの検閲が厳しかったせいか61分というTVドラマ並の尺。
それがかえってテンポのいい筋立てになっている。
実際前半の謎解き部分はやや冗長。その分後半のたたみかけぶりが良い。
当時の時代劇だから当然チャンバラは御法度。だからこその銭形平次。
投げ銭と十手のみで悪党を追い詰めます。
確かにチャンバラ解禁後の時代劇と比べると地味だけど、
規制の中で面白い作品を撮ろうとした映画人の知恵に脱帽。
TVドラマを観る感覚で観ると良いかも。安いんだし。
あれが港の灯だ [DVD]
1960年当時は日韓はまだ国交がなかった。李承晩ラインというのがあって、結構韓国に日本の漁船が拿捕されていた。それがこの映画の背景。そして主人公は在日韓国籍の青年である。自分は何者かを悩む。日本人からは朝鮮人と仲間はずれになるし、韓国人からは日本人と同じとみなされる。それはこの映画のラストに集約されている。そういうことから逃れるために北に行く一家が出てくるが、今の状況からするとそれもベストの選択ではないので複雑な感じがする。日常から出る矛盾を静に捉えるのは今井作品ならではと思う。
すっ飛び駕 [DVD] COS-034
河内山宗俊もの。
宮川一夫のカメラワークがすばらしいです。
夜の橋上の殺陣では、照明がほとんどなく、影が動くなか刀のぎらつきだけが
リアルな不気味さを出してました。
登場人物が多く、その分 ストーリーの枝が広がって解りづらいところもありますが、
人物像がしっかりしてて、それぞれのキャラが楽しめます。
個人的には宗俊邸のばあさんのキャラが良かったです。
山中貞雄監督の「河内山宗俊」では、ただの悪役だった森田屋が意外な相棒になってます。
直侍(なおざむらい)は、いくらか歳は取りましたが、あいかわらずのチンピラぶり。
クライマックスはあっさり流してますが、
悪党の家来達にむかって「おまえらに用はない」と言うあたりはリアルで、
ただのチャンバラ娯楽とはちがうクリエイターの心意気を感じました。