無法松の一生 [DVD]
太宰治が公開当時にエッセイで批判している事実は、
そんなに知られていませんが、当時の資料として、
とても貴重ですね。
興味ある方は新潮文庫の「もの思う葦」を、
読んでみてください。

私は太宰ファンだけど、彼の意見には賛成しません。
指摘したいことはわかります。
でも、芸術家の芸術論に、ファンである
私たちが左右されて、この名画からもらった
感動を否定したり、軽く見たり、したくないのです。

三船さんの版は、あまりにウェットで残酷ですら
あるように思え、私は苦手です。
検閲でカットせざるを得なくなったのは、
良い方向に出た、と思うのです。

稲垣監督の悔しさは重々承知で、この
検閲版を大推薦します!!

テレビ画面で観ても、機会があればスクリーンで
観てみてください。
時々、地方にもフィルムが回って上映会がありますよ。

円谷英二さんの特撮が、ただの人情話に
終わらせない、ファンタジーを画面に持ち込んでいます!!

本当に、語りつくせない名画です。

 

無法松の一生 (人間愛叢書)
いかにも大甘なので星1つ減らしたが、これは私の照れかもしれない。
映画(三船敏郎版しか観ていない)より抑制が取れたラストに、思わず心の中でつぶやいた。「松さん、良かったなぁ。」

 

無法松の影
無法松とはなかなかの着眼点かも知れない。
「にっぽんの男らしさ」を追って行くには最適の題材であるかも知れない。
ある一定以上の世代には強く印象に残る無法松。
著者もそうであるが、わたしも実際の所あまり印象のない遠い存在。
消えつつある昭和のノスタルジーの代表かも知れない。

著者は、最近はいろいろな文筆活動を行っているが、元々は民俗学者。
民族学の分野の代表著作のようだ。
戦前から戦後にかけての無法松の描写の変遷から現在のおける風化まで、無法松を通じて「にっぽんの男らしさ」とは何かを探していく。
最後は著者の内面世界にまで踏み込んでいく。無法松というひとつの男らしさを追求する打ちに自己の内面へ沈殿し、その著作の動機や原風景の理由を追及していくという一種、私小説的な部分もある。

文体は語り口調風で、それ自体が民族誌といえようか、あまり読みやすいとは言えないが、なかなか風情ある著作であるように感じた。

 

小倉祇園



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