スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学
何々経済学と称していい加減な本がたくさん売られてきたが、近年まともな本が増えてきたのは喜ばしい。本書もそうした本の1つと言える。経済学の様々な「コスト」の概念を使って、ペットボトルの価格差、ケータイの料金、所得格差など身近な経済現象の数々を論じる。
ジャンルとしては「ビジネス・エコノミクス」や「まっとうな経済学」に近いが、生活者の視点(と関連する企業戦略)に徹して、掘り下げている。類書と同様の話題もあるが、著者なりの掘り下げが良い。最終章のケータイ料金の話の詳しさには恐れ入る。
世界を変えるビジネス―戦略的な社会貢献活動を実践する20人の経営者たち
デル、リーバイス、インテル、スターバックス、シスコなど20の企業の社会貢献活動についての説明と、各社経営層が語る思いが並んでいる。多くは米国企業であるが、NECも紹介されている。彼らの社会貢献活動に関して共通するのは、経営層のこだわり、長期にわたり業績に左右されない貢献、地域社会に溶け込んだ活動、次世代に対する教育への取り組み、疾病予防への貢献、等である。特に、グローバルな活動を行っている企業ほど、地域に対する「ソーシャルキャピタル」の充実のための貢献に取り組んでいることを多くの経営者の口から語られていることに驚きを覚えた。社会の課題を解決するための何らかの手段や資金を企業が有しているなら、それを供出することは当然とのコメントに、日本の経営者に掛けているものを見た。その心意気が社内で浸透することによる、大きなプラスの効果を生み出しているのだろう。
ラテに感謝! How Starbucks Saved My Life―転落エリートの私を救った世界最高の仕事
この本を通して、著者が言いたい事はそんなところだろうけど、それは十分に伝わった。
主人公が出会ったスタバの仕事仲間たちは素晴らしい。主人公にとって彼らに会えたことが最大の幸運だった。でもこの主人公が結局のところ、最後までブルジョワ的な考えを完全には捨て切れていないのが、文章の中に垣間見えたので、100%の気持ちで応援する気分にはなれなかった(原文を読んでないので訳の問題かもしれないが)。でも64歳から違う世界に入れば、それまでの考えを変えることは容易ではないので、十分に立派だとは思う。