死刑絶対肯定論―無期懲役囚の主張 (新潮新書)
死刑を廃止したら日本の社会は成り立たないと考えている私にとって、思わぬ人物の死刑在置論であった。特に後半の日本の薄っぺらい死刑廃止論者が判を押したように語る死刑廃止の理由に対して、獄中死を自ら選択した無期懲役囚の立場から、凶悪犯罪者の本音を語ることによって丁寧に反論し、「死刑は絶対に必要と確信」するさまは塀の外の私達一般人より説得力がある。
また死刑の代替刑として考えられている終身刑に対しても理由を挙げてきっぱり否定し、裁判員へのアドバイスとして被告の「更生の可能性」は考慮しなくていいとはっきり言い切るなど著者でしか書けないことばかりで、非常に充実した内容だと言える。
傍聴マニア09 裁判長!ここは懲役4年でどうすかDVD-BOX(5枚組)
序盤はコミカルだが、だんだんとシリアス路線へ。
なぜ傍聴しているのか。
人の不幸を楽しむなんて不謹慎ではないか、といった展開もあり。
最後は裁判員制度につなげていて、気軽に見れて得るものの多い作品になっていると思います。
反省 私たちはなぜ失敗したのか?
外務省の実態がこんなひどいとは、本当に驚いた。まさに腐ったリンゴ。勤めている職員も、学生のときは、成績が優秀なまじめな人が多かったのではないか。恐るべきは、日本の組織や役所。この国は、エリート教育のやり方を変えていかないと、とんでもない方向に行ってしまうという気がする。日本はアメリカだけでなく、中国の属国になりかねない。
人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白
今年読んだ本のベスト5以内に入るであろう書。
おそらく筆者は自分でも書いている通り相当優秀な頭脳の持ち主なのだろう。
それ故に法さえも(頭の中で)論破し殺人を起こした。
この本の見どころは、筆者による殺人犯の観察箇所。
下手な犯罪心理本より数段面白い。
不真面目な言い方だがこれだけのモノを書ける人が、
殺人犯と同じ環境に居て、そのレポート(=この本)を読めることに感謝したい。
しかしまぁ、筆者の言うとおり救いようのない人ばっかりだ。
裁判長!ここは懲役4年でどうすか [DVD]
まず、映画(TVドラマ含む)の法廷シーンや留置場・刑務所・面会室などのシーンには、いいかげんなものが多いように思いますが、本作は手抜きなく事実通りに撮っています。
設楽統(したらおさむ)を主役にしたのは、キャスティングの妙でした。彼には、笑えるけれどどこか淋しくなさけない男を演じる上手さがあります。
「裁判所」を舞台にした映画ということで、異世界覗き見感はあるものの、真面目に訴訟問題を採りわげた裁判映画ではない。かと言っておちょくったギャグ映画でもない。裁判所のルールやトリビアを紹介する疑似体験映画として、そういう場所で起こってしまう笑いをネタにしたコメディ映画として、そこで起きる濃密な人間ドラマ、はたまた、『国民主権』という根本原則を思い起こさせる社会派映画として、等々、いろんな側面からアプローチをしてくれますが、その描き込みが、どれも『そこそこ』なレベル。面白く観ることはできますが、突き抜けたものはありません。そのあたりをどう評価するかでしょう。
問題は、裁判が「見世物」になっているにもかかわらず、それが中途半端な形だけの「神聖さ」を装っている点ですよ。見世物なら、テレビ放映すればいい。しかし、そういう完全な公開がなされず、ニセの「神聖さ」が維持されているのは、それによって利潤や権力を得る仕組みがあるからと、穿った見方もしてしまいます。そのあたりのジレンマは、うまく醸し出せていたと思います。
また、コメディ部分については、大根狩り現場で起こった殺人事件や、被害者遺族に謝罪する被告人のフザけた服装、万引事件で検事がクソ真面目に読み上げるエロビデオの題名、女子高生が大勢傍聴する痴漢裁判でやけにハッスルする裁判長、等々、結構笑わせてもらいました。