Ravel: Daphnis and Chloe in Full Score
ラヴェルの最高傑作であるバレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲版のフルスコア。デュランの1913年のものの再版です。物語の粗筋、フランス語の用語の英訳一覧、リハーサルナンバー83からの合唱だけの箇所の管弦楽バージョンもついています。
一般的に人気があるのは第二組曲で、これは日本でもスコアが出版されています。しかし全曲版もまた魅力があります。長くて退屈だという向きにはこのフルスコアを購入して読みながら聴いてみるというのはいかがでしょう。あらためて「スイスの時計職人」ラヴェルの精緻極まりないオーケストレイションが全曲に渡って堪能できると思いますよ。
それと、Amazon全般にいえることなんですが、なんといっても安価!多少の誤植を気にしない性格の方ならばますますオススメです。
キック・アス Blu-ray(特典DVD付2枚組)
女性にモテず、パッとしないマンガオタクの少年がヒーローに憧れて
通販で買ったタイツに身を包み、
にわかヒーロー「キック・アス」として活動する話。
悪を退治すると意気込むキック・アスだが、
中身は特別な能力もなくヘナチョコで妄想ばかりの頼りない少年だ。
それでも悪事に対して傍観する姿勢が許せない気持ちは本物で
気持ちばかり先行して空回りしている様子が面白い。
序盤を観る限りではそういったノリのコメディタッチなバカ映画に思えるが、
唐突に挿入される別の親子の存在によって話の方向性が大きく変わっていく。
それが11歳の少女「ヒット・ガール」と
その父「ビッグ・ダディ」という、まさに本物のヒーローたちだ。
戦う能力としては素人のキック・アスだが、
正義に燃える気持ちを買われ、徐々に2人との関係が深まっていく。
ところどころに笑いのシーンを挟みつつも、
ヒーローが現実に活動するならまさにこういう裏側になるだろうという
妙なリアルさが常に感じられるのが素晴らしい。
そして何より最高なのが、妥協しない暴力シーンと
あまりにカッコいいアクションの連続だ。
キック・アスの素人丸出しの必死の行動も楽しいが、
完璧に訓練されたビッグ・ダディとヒット・ガールの動きは
ここ近年のアクション映画の中でも飛び抜けてカッコいい。
特にヒット・ガールは見た目はまさに小学生といった感じなのに
キレのある銃さばきや情け容赦ないヘッドショット、
壁を駆け上がりつつ近距離で仕留める俊敏さにホレボレする。
クライマックスで廊下を走り抜けつつ敵を一掃するシーンは
まさに最高のインパクト。めちゃくちゃにカッコいい。
リアルなヒーロー像の表現と、きっちり魅せてくれるアクション、
凶暴な敵たちと全力でぶつかる展開など、非常に熱くなる作品。
「マトリックス」「リベリオン」「ウォンテッド」「ウォッチメン」のうち、
どれかひとつでも好きならまず気に入るはず。
Walking in the Air
DVD ”Celtic Woman”を見た後、すぐ4人の歌姫のCDを買い揃えた。当初、このChloeのアルバムはトラッド・ナンバーが一曲もなく、一番ケルト色が薄く、つまらなく思えたのだが、聞き込んでいくうちに違う魅力に気付いた。それはバロック調のトーンだ。
ドボルザークの「家路」、バッハの「喜びの歌」、ブラームスの「子守歌」など、極めてポピュラーなクラシック・ナンバーに特記すべき事項は見当たらないが、ヴィヴァルディの「雨」は群を抜いて素晴らしい。この一曲のためにこのアルバムを買っても損はないこと請け合い。いや、この一曲こそがこのアルバムの存在理由である、と言っても過言ではない。彼女の天真爛漫、純真無垢な少女のような歌声、彼女の発するフランス語の美しいこと。ヴァイオリンのピッツィカートがまた心地よい。まさに”Walking in the air” の如く、「天上の音楽」である。わずか2分12秒でこの至福が終えてしまうのが惜しくて堪らない。
次に突出しているのが、「ヴィンセント」 77年のDon McLeanのスマッシュ・ヒットだ。こんな美しい歌声で再現されるとは、彼も予想だにしなかったであろう。(彼の”American Pie”のデビューは鮮烈だったが、名前からして、アイリッシュ系であったんだ、と今頃気付くバカな私であった)いっそ、”American Pie”もやって欲しいと思うところだが、ChloeではなくLisaあたりが似合いそうだ。
7曲目の”Panis Angelicus”は讃美歌のように美しい。教会のミサに参加しているような錯覚に陥る。もちろん、”Someday”や”One World”といった、コンサートで歌われた曲が素晴らしいことは今更言うまでもない。DVDを見なくとも、鮮明にステージの姿がまぶたに甦る。
チョコレート・バイブル―人生を変える「一枚」を求めて
著者はプロのチョコレート鑑定家であり、食べるときに目隠しされていてもチョコレートの商品名がわかり、食べたことのないチョコレートでもカカオ産地や製造プロセス及びメーカーの見当がつくという。
味覚を鍛えるのに重要なことは、まず自らのの感覚を信じるということであり、それは人生の態度にもかかわってくる。
更に、このように付き合うに適したチョコレートとは、質の良いカカオからつくられた混ぜ物のない板チョコレートであり、風味を最大限に引き出すよう注意深く製造され、もちろん人工香料や植物油脂を使わない「ファイン・チョコレート」であるとしている。
ファイン・チョコレートは、ワインのように奥深く楽しめるものになりうるというのがこの本の主張である。
そして、テイスティングのはじめ方が詳しくガイドされている。私は、この本に書かれている銘柄のチョコレートをいくつか試してみたところ、確かに楽しみが広がったように思う。(今まではコンビニ板チョコメインで時々高級ボンボンチョコ)
ただし、歴史や製造工程については大雑把な説明しかないので、他のしっかりした知識の本を見ると良い。
他のマイナス点としては、句読点の間違いや説明のおかしなところがあるし、著者がかかわるブランドをプッシュしていることや(わざとらしいのが救い)、対談が最初に追加されているという構成に対する疑問がある。
これらは、ファイン・チョコレートの普及活動に熱心すぎるあまりなのか、翻訳の問題なのかは分からない。
バイブルというほどの本ではないが、他に見たことのないテーマの本だ。原題の直訳である「チョコレート鑑定家」というタイトルならば、もっと素直に読めると思う。