真理先生 (新潮文庫)
本当に読んで良かったなと心から思える本。
馬鹿一と呼ばれる奇人?天才?が出てきますが、彼が本当に良い生き方をしています。
彼と彼をからかう人々とのやりとりなどは特に面白かった。
他にも良いところを挙げればきりがない。
何度でも読み返したくなる本。
お目出たき人 (新潮文庫)
主人公はなんて前向きな人なんだろうか。恋破れた時、この主人公のような考え方ができる人がどれだけいるか・・。少なくとも私はショックでしばらく立ち直れなさそうですが。やっぱり意中の人を得るには自分から積極的にアタックしなければダメなんですね。
友情 (新潮文庫)
まず、この作品の欠点から書かせてもらう。それは、大宮が男としての理想を全て具現化したような人物なので、実際にはあり得ないということだ。こんな男がいたら、杉子だけではなく大勢の女たちに惚れられるだろう。野島でなくとも、大宮に勝てる男はいるはずないのである。
それにしても、野島の片想いの強さはこちらの胸まで苦しくなるほどである。恋というのは病であり、幻想であり、相手を崇拝してしまうものだ。それをストレートに描写したのがこの作品である。恋をしたことがある者なら、野島に共感してしまうに違いない。よって、彼の絶望にも同情することになるだろう。
最後の方の杉子の手紙は、読むのが辛い部分である。
《どうしても野島さまのわきには、一時間以上はいたくないのです。》
これはきつい。じゃあ、鎌倉で仲良さそうに話したのは何だったのか。大宮に近づくために野島を利用したのか、と問いたくなる。しかし恋というものは生理的なものなので、どうしようもないのだろう。
また、杉子の大宮への熱烈な恋も、やはり幻想であり崇拝なのである。作者はこの二人の結婚後を描くことはなかったが、それは熱烈な夢から覚めた後の、わりと退屈な日常になるはずである。