赤川次郎ミステリー 夜想曲 ~本に招かれた殺人~
まず、グラフィック、音楽、ストーリー展開はどれも素晴らしいです。
このDS版「夜想曲」により、「かまいたちの夜」シリーズと肩を並べる存在になったと思います。
○ 本編より、完結編・外伝のほうが、野々宮図書館の魅力が引き出されているのは皮肉でしょうか。
○ 今となっては古典的となったサウンドノベルの形式も、逆に味があってよい。
○ エンディングをすべて見なければならない、というのは、
特定選択肢を選んでいかなければ見られないエンディングが存在するので、
現在のゲーム業界・作品の状況の中にあって、いささか「難しい」とされるレベルだと思います。
(しかし、それくらいの難易度がないとやりがいが無い、と個人的には思います)
かまいたちの夜特別編などにあるような分岐点のチャート図が
搭載されていないのは、スタッフの手抜き、と言われても仕方がないかもしれません。
「コンプリート」するために、結局は攻略サイトに首っ引きになってしまいます。
(私の個人的な望みではありますが)攻略本・サイトに首っ引きにならないような、
ゲームソフトだけで、「コンプリート」を目指すことができるやりこみシステムを望みます。
○「恋人の自宅に電話をかける」など、時代背景が古びているような気がしますが、
これは元々この作品が1993年(平成5年)を舞台としているためで、
何の問題もありません。むしろ変に改変し、主人公たちに携帯電話を持たせてしまうなど、
物語を安易な現代化に走らせるほうが、物語の叙情を失い、よほど問題だと思います。
リメイク作品にはつきものの、そういった「古い!」という批判には気にせず、
「これは19××年が舞台なのでご了解ください」という一言で済ませておけばよいので、
現代風アレンジという名の「現代に迎合する安易な改変」をしなかったという点で評価します。
(改変自体はあることはあったのですが、よほどのファンでない限り、気づかないでしょう)
○ それと関連して、1993年の時点でも、「〜わよ」「〜かしら」などの
旧来の女性言葉を使う女子大生は違和感を感じる、という批判もあるかもしれませんが、
(赤川次郎氏のエッセイで氏がおっしゃっているように)女子中高生、女子大生がたとえ
女性言葉を使わない現在の現実があったとしても、物語の中ではどんどん使っていく、
という赤川次郎氏の創作スタイルを尊重しているものと考えます。
○ 本当に惜しいのが、本文中に誤字が多いこと。「こんにちわ」はまだいいとしても、
「以外にも」「開放される」「不振に思う」「この後に及んで」「始めての」など、
文字が主体のサウンドノベルにあるまじき初歩的なミスが多かったのが残念です。
ぜひ次回作はチェックを厳しくやってほしいと思います。
しかしそれらの欠点も、面白さ星5つのこの作品の評価を
大きく下げることはなく、全体的な評価としての星は4つとしました。
アパシー ミッドナイト・コレクション vol.1
「恵美ちゃんの殺人クラブ観察日記」「送り犬」「柱の傷」の三作品が収録されています。
「恵美ちゃんの殺人クラブ観察日記」はEDが84種あります。一枚絵のCGは28枚と少なめ。本作には達成率というものがあり、100%になると最後のCGをゲットできます。ただ、全EDを見ても100%にならないのはかなり痛いです。分かりづらいとは思いますが、全選択肢を全パターンで通らないと100%にはならないのでコンプは困難。
ストーリーはすぐに終わっちゃうものから1時間以上かかる長いものまで様々です。しょぼいのもあれば面白いもの、考えさせられるもの等々、多種多様です。
「送り犬」はEDが32種あり、CGは18枚。笑えるものから癒されるもの、どろどろするものなど、こちらも多種多様なEDがあります。一番すごいのは、正規ルートの「送り犬」です。同人誌で書かれていた作品を収録したもので、最後の終わり方はかなりすごい(どろどろしてますが)。
「柱の傷」は選択肢ゼロでひたすら読むだけで終わります(短めです)。CGは女性に大人気の日丸屋秀和さんが担当しています。
謎解きはディナーのあとで
この作者さんの作品を読むのは、この本が初めて。
書店でタイトルを見てなんとなく手にとりなんとなく購入。
大当たりでした。
なにこの掛け合い漫才みたいな会話。
仕事のイライラも吹っ飛ぶ愉快さです。
内容も、とにかく軽く明るい推理本。
ショートストーリーでの構成ですので、
お昼休みのお供などに超お勧めです。
The Murders in the Rue Morgue(The OxfordBookworms Library Stage 2: 700 Headwords)
深夜のモルグ街の屋敷で、母娘が惨殺された。
多くの人間がその声を聞いているにもかかわらず、犯人の姿を目撃した者はいない。
そして、事件のあった部屋のすべてのドアと窓には、内側から鍵がかけられていた。
奇妙な声で謎の言葉を話す、その犯人の正体は…
え゛〜っっ!? って感じです。
残念だったのは、結構はじめの方で、巻末のGLOSSARYを見ようとして、
うっかり最後のイラストを見てしまったこと。
内容を知らずに読む方、最後のイラストでネタバレしちゃうので、
要注意です!