夢
村治は、「ニューヨークスケッチ」「アメリカ」で、アメリカ留学ならではの曲を(ジャズのアレンジなど)弾いていたが、今回は19世紀作品を(ソル、メルツ、コスト、レゴンディ)中心としたアルバムだ。使用ギターはH.Hauser二世である。
レゴンディは、繰り返される転調、独特の和声がつくりだす色彩感があり、技巧的に難しい作品だ。「ノクターン‘夢‘」は、トレモロのメロディーが細かく動くところも聴きどころだ。(このアルバムのバリオスやアランブラより細かい)
コストは、知られていない秀逸な曲を華麗かつロマンチックに弾いている。
メルツは、たたみかけるように盛り上がるラストが爽快だ。
19世紀もの以外では、村治がコンサートのアンコールで弾いている曲を入れている。(カバティーナ、ワルツ第3番など)和声を分析した上で、メロディーを響かせている。(アマにはできない演奏だ)
個人的には、第7幻想曲(ソル)をこのアルバムに入れてほしかった。(先日、コンサートで聴いて、感激した曲なので)
このアルバムとともに、宮下祥子の「ヴィルトォーゾ」も聴いてみることをお薦めします。ロマンチックな歌の村治と、理知的な宮下。みんなで19世紀にひたりましょう。
8月23日加筆
コストの「スペインの歌”カチューチャ”によるカプリス」は、福田進一が「19世紀ギター・デビュー!」で弾いています。(95年2月発売)
福田は村治の先生です。
ニューヨーク・スケッチ
テレビ番組でケルティック・テイルを聴いて、いいなと思って購入しました。ケルティック・テイルもそうなのですが、ハンドというギタリストの作曲した曲が哀愁を帯びていて良いです。村治さんはニューヨークで自分の道を模索中なのかな、と感じました。
シャコンヌ
有名なギタリストである村治佳織を姉に持つ村治奏一の演奏するギターです。曲目の中のバッハのシャコンヌは彼の得意なレパートリーの一つで大変うまく演奏されております。彼は1982年生まれの若手で今後の成長が期待されます。このCDで演奏しているバッハのG線上のアリアは大変素晴らしい演奏で奏一のもつ高い音楽性がでていると思います。演奏は癖がなくみな大変美しいものです。これに個性が少し付いたらさらによい演奏になると思います。