ボンベイ [DVD]
ある小さな村で、ヒンドゥ教徒の青年が、ムスリム(イスラム教徒)の娘を見初めるところから、物語は始まります。ボンベイで雑誌の仕事をしながら大学へ通う青年の元へ、娘はやってきます。そして結婚。最初は大反対していた両家の親も、孫の誕生をきっかけに二人を認めます。
この恋物語に暗い影を落とすのは、ヒンドゥとムスリムの宗教的な対立です。日本では考えられない、宗教の対立による、焼き討ちや暴動。インド人でなくとも、こんな無意味な対立は止めにしよう!と思うところです。
ムスリムの娘、シャイラー・バーヌ役のマニーシャーが美しいです。
夫セーカル役のアラヴィンドスワーミもなかなかいい男。そして、子役のカビールとカマール役の双子が愛らしいです。
インド映画に付き物(?)の歌とダンスも素晴らしい。
Shantaram
この本について、コメントがないのが不思議な気がします。この本は、インドボンベイの町を舞台に、オーストラリアからの逃亡者が生きぬく姿が克明に描かれています。私が過去一年間に読んだ英語の本でも1-2位と思っています。著者は、実際の脱獄犯ということですが、インドマフィアの犯罪組織についてもリアリティーがあり、つまらない女性推理小説作家とは一線を隔します。文体も詩情あふれ、私たちが日常見る世界、社会、人々、風景も逃亡者から見る世界観とはまったく異なることがわかます。生きることの意味づけみたいなことが何度も語られます。哲学的な話題も豊富であり、マフィアのドンと語り合う哲学談義は興味深いです。そして、スラムに住む人に対するあたたかい視線、また忠実なインドのまずしい友人たちとの交流は心を打たれます。私は個人的には天使のような友人、プロバーカが大好きになりました。難点をいえば、本当の犯罪者の持つ迫力、暴力が一般人の倫理観とは異なると思うし、私たちがこのような暴力は見ないし、しないと思いますが。まあやくざの世界の抗争は同じようなものでしょうが、暴力シーンには辟易とさせられる場面も多くあります。また少し長すぎる嫌いもあります。このようなマイナス面をおいても、この本の持つ今日的な意味は多くあり、生きるべき指標として、教育図書としても、広く読まれるべき本と思います。最後の場面はなんども読みました。そして生きることの素晴らしさを描いています。映画化もされとの噂もありますが?
Q and A
映画を観てから原作を読みました。主人公の生い立ちの設定が映画とはかなり違うので、映画と原作で二度、楽しむことができます。しかし、「楽しい」でかたづけることのできない、実に深くて重い内容。インド社会の底辺で暮らす人々(その人口規模からすれば一大勢力なはずですが)のすさまじい人生がいくつも登場して、とにかく圧倒されます。やるせない涙も出ます。文章の巧みさ、伏線を二重、三重にはりめぐらす見事な構成も手伝って、読者をインドの貧民窟の世界へ一気に引き込み、目を離す余裕を与えてくれませんでした。推理小説としても大変、読み応えがあります。
ムンバイだけで終始した映画と違って、原作ではデリーも舞台になっています。デリー滞在中にこの本を読んだので、臨場感があり過ぎました。周囲を見渡せば、主人公のラム(映画ではジャマール)みたいな少年がうじゃうじゃいるからです。障害者の物乞いから手を出されれば、この子にお金をあげても結局、悪い大人に巻き上げられるのでは、と思ってしまう。
映画ではインドの暗黒街の問題のみに焦点が当てられていましたが、原作では、貧しい孤児(主人公)の目を通して、インドの富裕層の問題、白人社会の問題もあぶり出しています。(イギリス人である映画監督はこのへんは避けてしまったみたいですね。)タージマハルの歴史的背景やインド・パキスタン関係などもかなり詳細に知ることができ、ガイドブックとしても優れものです。
原作が先か、映画が先か、どちらもおススメ。ぜひ、両方体験してください!
Flaws
イギリスインディーの超新星ボンベイバイシクルクラブの2ndアルバムです。
これから買おうとしている人に警告します。
このアルバムは完全な「アコースティックアルバム」です。
1stアルバムにあるような、
足し引き絶妙なバンドグルーヴはここでは鳴っていません。
ただメンバー四人がアコースティック楽器に持ち替え、
気持ち良さそうに演奏しているだけです。
ドラムスが入っている曲も11曲中、5曲程度です。
買うときは必ず試聴をお勧めします。
2ndから買おうとしている人はまず1stアイ・ハド・ザ・ブルーズ・バット・アイ・シュック・ゼム・ルースから聞いてみてください。
このアルバムの内容自体はとても良いです。
全楽器をアコースティックに持ちかえることによって
彼らの非凡なソングライティング力が剥きだしになっていて
一度気に入ってしまえば、なかなか飽きないです。
It's a Beautiful Day
「ジャケットだけで存在価値のある作品」の筆頭に挙げられるであろう伝説のアルバム。確かグローバル・プロバガンダとかいうデザインチームがデザインしたジャケットです。当時のサンフランシスコという特殊な地域を青い空が象徴的に表わしているように思います。レコードでは見開きジャケットの中側には確か「時間の永遠性を知っている人のために・・」とかいうメッセージが書かれていたような記憶があります。なんか1967−70年という雰囲気が表れているようで、このジャケットを見ながら「ボンベイ・コーリング」を聞いた日々が思い出されます。音楽自体もいい出来のものが続き決してジャケットだけではありません。